ホームメイド・ピッツァ用の様々なタイプのオーブンを試し始めてから、ほぼ4年。この間、家庭での焼成にまつわる様々な代替案が、市場に投入された。ここ(ほぼ)2年に渡るパンデミックと相まって、特製のナポレターナ、またはバットに入れて焼くタイプのピッツァの自宅での手作りに勤しむ活動は、生地に手を付けるなど想像すらしたことも無かった人々の間でも、人気を高める一方だ。この時期、我々は自分自身の習慣のおおよその見直しを強いられたわけだが、多くの人々は、ピッツァに対する情熱をそれまでとは違うやり方で深める(我々がlievitamente – ホームメイド・ピッツァ・フェスティバルを立ち上げる原動力となった)中で、遅かれ早かれ焼成に関する疑問を抱くようになる。そこで今回は、市場に流通している、様々なタイプのオーブン各々の可能性を検証することとする。その際には、予算に照らし、また焼成に適したメニューも特定する。
家庭用オーブン
一般的なオーブンの耐熱性石板で焼成したピッツァ
第一の選択肢としては、全家庭が所持している、一般的な家庭用電気オーブンが挙げられる。(ほぼ)一家に一台備わっているため、購入費がかからず、今すぐ使えるという大きな利点があるこのオーブンは、バット入りのピッツァには最適である。ナポリタイプのピッツァを目指す場合は、家庭用オーブンの250度という温度は低すぎるため、ピッツェリアで口にするような1枚とは比較の対象にならないものしかできない。
フライパン+グリルという手の存在は、明白だ。これがれっきとした成果を上げ得ることは、YouTube上の数多のビデオが証明している。ただしこの手法は、ナポリタイプのピッツァが本当にあなたが求めているスタンダードなのかどうかを理解するためだけに有効な、追加経費の負担が無い、一時的な解決策に過ぎない。家庭用オーブンには想定されていないこの使い方を繰り返すと、ゆくゆくはオーブン自体を痛めかねない。
ピッツァ用の耐熱性石板を取り扱っている業者が、家庭用オーブン用の耐熱性石板も市販している。これを購入することを手始めとした私だが、家庭用オーブンでパンを焼こうとしている人に薦めたい。ナポレターナ的なピッツァ向けには、他をあたるべきだ。
丸型ミニオーブン
改造版ミニオーブン
典型的な、赤くて丸いミニオーブン。その入手経緯は、あなたがホームメイド・ピッツァに情熱を注いでいることを知っている知人にプレゼントしてもらうか、家庭用オーブンとは違うものを試すためご自身で購入されるかの、どちらかだ。流通しているこの手のオーブンは、一般的なオーブンより焼成時間が短縮でき、一般的なオーブンを点火する必要が無く、ナポレターナ的なピッツァの焼成により適した焼成室を備えている。なお、最大の長所は価格で、100ユーロ以下で1台購入できる。
ピッツェリアで提供されるような1枚を目標とする方々には、このオーブンでピッツァが然るべく焼成するためにかかる分数は、やはり長すぎる。そのため、様々な改造、カスタマイズ案が、インターネット上を飛び交っている。改造したサーモスタット、クラシックなものとは異なる石板の焼床、より高い出力に対応した抵抗器等は、手持ちのミニオーブンを改良し、多種多様なカスタマイズを掛け合わせ、最良の成果を上げている人々の間で交わされる、一般的な用語の一部となっている。
ただし、細部までカスタマイズし切った場合も、外部からの完全な遮断に伴う、ホームメイド・ピッツァ職人がここぞと言うタイミングでピッツァを窯から取り出すべく目を光らせるという仕事を不可能とする、ミニオーブンの最大の弱点は、未解決のまま残る。かつこの弱点は、蓄積された熱を外部に逃さないために、できるだけ蓋を開けないという必然性に対する問題も内包する。この2点に関する失敗を最小限に抑えるためには、慣れるためにピッツァパーティを重ねることと、才能が不可欠となる。
カスタマイズにおける安全性と言う面にも、言及しておきたい。焼床を交換することは無害であろうが、サーモスタットを改造し、抵抗値を強めた場合は、家庭内事故を防ぐために、これに伴うリスクを把握しておくことが必須である。
イッリッロ
イッリッロ・エクストリーム・オーブン
ホームメイドでのナポリタイプ・ピッツァの焼成用として登場した、最新製品の一つ。前述の丸いミニオーブンと形状は似ているが、他では特徴を違える。底部の加熱には、通常の家庭用コンロを用いる。そのため、コンセントにつなぐ必要がある抵抗器が設置されているのは、上部のみとなる。イッリッロ、中でも1,500ワットの抵抗器を備えたそのエクストリーム・バージョンを試した人は、見事な結果が出たと口を揃える。かつ、以下に紹介するこれ以外の候補と比べて、価格はかなり抑えられたもの(164ユーロ)となっている。
ただし、クラムシェル型のオーブンにつきものの問題は、その弱点として相変わらず存在している。焼成段階を完璧に遂行するための必要時間を通じて一瞬たりとも欠かせない、焼成具合の目での確認が不可能で、かつ蓄熱の放出は避けられない。
エッフェウノP134H
電気オーブンでのピッツァ焼成
ホームメイド・ピッツァをピッツェリアレベルに向けて確実に押し上げてくれる、複数の代替案の中で、最も知られ、かつ年長の存在。これを家に迎えようと思えば、500ユーロ前後と言う結構な額が必要となるにもかかわらず、エッフェウノ P134Hが、ホームメイド・ピッツァづくりにとりつかれた人々が最も活用している機材となっていることも、偶然ではない。なお、これを購入し、試運転期間を終了した暁には、その経費が正当なものであった事を証明する正規の活用をする限り、この額に御礼を述べたくなるなるはずだ。なお、意外に思われるかもしれないが、P134Hは、ナポリタイプのピッツァのみならず、バット入りのピッツァとパンの焼成も目した一台である。
ピッツァの「可視性」という問題は、先行した各代替案よりは解決されている。扉にガラスを配しているため、焼成の最初から最後まで、そこからピッツァをチェックできる。短所はその大きさで、P134Hはコンロよりずっと大きく、またその重さと相まって、その移動、あるいは使用後に収納棚に戻すことは容易でない。
複数の面(特に右)での通風が必要となり、はめ込み仕様での使用が不可能なため、これを乗せる何かしらの家具、少なくとも、ピッツァ焼成時にはこれを引き出す小型の移動台が必要となる。消費エネルギーの面では、併せて2,800ワットとなる2つの抵抗器は、電気代請求書を脅かす存在と感じられるかもしれない。しかし、実質的に問題となるのは、P134Hを使用している最中に、例えばドライヤーも付けようとした際くらいのものである。2つの抵抗器によるエネルギー消費は、経済的には確固たるものではなく、せいぜい予熱段階にそれが認められる程度のものに過ぎない。
ガスオーブン
ガスオーブン
この間まで、ナポリタイプのピッツァを家庭で作ろうと思えば、電気が唯一の手段だった。しかし最近、火力は強いが薪窯ではないその代役が、いくつか市場に投入されている。それが、市販のガスオーブンである。P134Hに比べると、価格面では押しなべてより手ごろとなっているが、サイズ的にはこれと共通している。
このタイプの主な特徴としては、ピッツェリアで見慣れたタイプの窯により近づいた存在であると同時に、薪窯が要するスペースを必要とせず、薪窯につきものの汚れも排出しないことが挙げられる。ただし、流通している全ガスオーブンには、屋内での使用は想定されていないため、これを設置する屋外の焼成スペースを要する。
そのため、冬期は少々問題となる。ピッツァパーティの夕べ、テラスでの焼成と言うのは、この時期あまり快適ななものでは無い。また、パーティの途中でもうピッツァが焼けない、と言った事態を避けるため、ガスボンベのガスの残量にも目を配る必要がある。炎がピッツァの一側面を焦がしてしまわないよう、焼成中ピッツァを回転させることにも注意を払う必要があるガスオーブンは、結論として、ホームメイド・ピッツァづくりの可能性を100%試そうとする方への解答となってくれる。
さて、皆さんが使われている、ホームメイド・ピッツァ用オーブンは?当記事のリストのうちのどれか?あるいは、バーベキューやパイプを使った秘法を用いる、オルタナティブなグループに属していらっしゃる?