巣ごもりを余儀なくされた、歴史的にも比類ない現状。泣こうが喚こうが、相当な時間を、とにかく自宅でつぶさなければならないことは明らかである。ならばいっそ、これとがっつり四つに組もうじゃないか - という訳で、キッチンでの製パン、特にピッツァづくりに、イタリア中が興じている。
Garage Pizzaも 、その参考となるようなホームメイド・バージョンのベーキングパン入りピッツァ、ピッツァ・フリッタ(揚げピザ)、ナポリピッツァの簡単な作り方、実践的な様々な焼成方法、科学的かつ詳細なその仕込み方法などを取り上げて来た。
しかし、細心の注意を払ってレシピを忠実に実現したにもかかわらず、ちょっとした見落としが致命傷となり、残念な出来となることも多々あるのが現実である。
そこで、電気・薪窯でのピッツァとパン作りに長年取り組んでいる、製パン技師のアレッサンドロ・ロ・ストッコに、自宅でピッツァを作る際、気づかないまま犯しがちなエラーとその意味を尋ねた。
イーストと塩を同時に水に溶かす
生地の仕込みは、その後の作業と結果を大きく左右する、絶対的な要素である。直捏法でも中種法でも、まずはイーストを溶かし、その後に塩を加えるのが正しい。この2つの材料を同時に投入した場合、イーストを抑制する塩の傾向が醗酵を阻害し、ピッツァやパンは失敗に終わる。
大量のイーストを投入して、醗酵を加速させる
手早くピッツァやパンを作ろうと、大量のイーストに頼った経験がある人は多いはず。しかし、軽くて消化の良いピッツァを目指すなら、イーストの量は抑え、長時間(24時間超も可能)発酵させるのが鉄則である。
発酵中の生地を空気に露出する
発酵時の空気の存在は、わずかであれば良き友となるが、適量を超えると敵となる、諸刃の剣である。生地は番重に収め、きちんとふたを閉める。これが行われないと、生地の表面は乾燥して硬化し、圧延の際生地が割れたり、厚みにむらが出来る結果となる。
余熱が不十分なオーブンに入れる
余熱にかかる時間は、オーブンのタイプと出力によって、30~40分と幅がある。しかし、オーブンが焼成に適した温度まであらかじめ熱されていることが、生地を入れる際の必須条件であることは、あらゆるオーブンに共通する。このつまらないエラーに、足をすくわれる人は多い。余熱が不十分なオーブンに入れられたピッツァは、ぱさぱさで硬く、焼成にむらがある出来となる。
トッピングを全て乗せてオーブンに入れる
家庭用電気オーブンでの焼成は、60~120秒で理想の焼き上がりを実現する業者向けオーブンでのそれとは、大きく異なる。業者用に比べ、家庭用は温度が低く、8~12分と長い焼成時間を要する。そのため、フレッシュチーズは、焼き上がり2~3分前にトッピングするのがコツである。このひと手間で、フレッシュチーズは溶け切ってかつみずみずしい状態でオーブンを後にし、味わいのポテンシャルが最大限に引き出されたピッツァが完成する。
以上の落とし穴に留意しつつ、是非我々の記事を参考に、理想の一枚作りにチャレンジして欲しい。
ホームメイド・ピッツァの成功を祈る!