ピッツァは何カロリー? マルゲリータその他

先日友達とテーブルを囲んだ際、「フランチェスコ、ずばり『食べちゃだめな食べもの』って何?」という質問が飛んで来た。これに答えて、とにかく避けるべき食品と言うものは、幸運にもこの世には存在しないことを私が説明していた時、「ピッツァじゃね?」と言う、私にとってはほぼ挑戦状のような言葉が、耳に届いた。「ピッツァは太る」「グルテン入ってる」「栄養バランス悪い」「デブは、ピッツァとフォカッチャばっかり食べてるから太ってる」 ― 聞きなれたフレーズが、これに続いたのは言うまでもない。

そこで私は、当サイト内Pizza è Saluteに掲載された記事のうちの数本をまず勧め、続いてピッツァの作られるべき方法と、その主なメニューに含まれるカロリーとマクロ栄養素量は実際どう計算すべきか、私なりに言葉を尽くしてみた。

その際、客観的であるべく、2010年3月9日付イタリア共和国官報に掲載された、ピッツァ・ナポレターナ(ナポリピッツァ)規約と、カロリー計算とマクロ栄養素計算アプリとしてより浸透している、MyFitnessPal と FatSecretを基準とした。

Garage Pizzaでは、ピッツァ・ナポレターナ、熟練職人が作ったもの以外のピッツァについても取り上げているが、ホームメイド・ピッツァ作りに特化したセクションHomemade Pizzaも備えている。そこでは、家庭でのアマチュア・ピッツァの達人、我らがロザリオ・サラティエッロRosario Salatielloが手がけた一品 ― 彼ならではの想像力と美味さで、ことにロックダウン中には、我々を慰め、喜ばせてくれた ― もチェックいただける。

そのため、彼本人に、SNSで反響とコメントをより多く集めた、特に人気のピッツァのレシピをたずねることとした。

まず、前述の規約に則ったマリナーラ、マルゲリータ、水牛モッツァレラのマルゲリータ各々が含有するカロリーとマクロ・ミクロ栄養素をはじき出す。そしてこれを、ロザリオが家で作ったクラシックなマルゲリータ、マリナーラ、そしてフィオルディラッテ、ブッラータ、スモークサーモンをトッピングした彼の特製ビアンカと照合する。

規約に則ったマルゲリータ

おいおい明らかになるが、数値、特にカロリー数は、ピッツァごとに相当な差が出る。1つ材料を足しただけで、そのトータルは跳ねあがる。先述の2つのアプリが出す数値は、近いものだが等しくはない。そのため、便宜上、両者の平均値を記す。

規約によれば、生地玉は軟質小麦、水、塩、イーストから成る。ロザリオの生地玉には、これに玉あたり3gのEVOが加わっている。生地玉は約250gで、その内訳は小麦粉145g、水98g、塩とビール酵母が4gとなる。

規約では、マルゲリータのトッピングは、粗く崩した湯剥きトマト約70g、塩一つまみ、STG(伝統的特産品保護保証付き)モッツァレラ 90g、バジルの葉数枚、EVO4~5gとなる。ロザリオ・バージョンのマルゲリータのトッピングは、トマト80g、フィオルディラッテ100g、パルミッジャーノ・レッジャーノチーズ5g、バジルの葉2枚、最後にEVO10gでしめる。

前述の2つのアプリの平均値をとると、規約に則ったクラシックなマルゲリータは790Kcal、炭水化物108g、タンパク質32g、脂肪25g(うち飽和脂肪酸13g)となった。一方ロザリオのマルゲリータは、897.5Kcal、炭水化物113.4g、タンパク質37g、脂肪32g(うち飽和脂肪酸13g)となった。

ロザリオのマルゲリータの栄養価

マルゲリータのトッピングに、上記のようなSTGタイプではなく、保護原産地呼称(DOP) カンパ―ニア州産水牛モッツァレッラを使う場合、その量はピッツァ当たり90gとなる。栄養価から見ると、カロリーは少々上がり、平均値は815kcal、またお馴染みの炭水化物は108g、タンパク質29g、脂肪28.5g(うち飽和脂肪酸16g)となった。

ホームメイド・ピッツァの方が、規約を正確に遵守したピッツァよりも幾分カロリーが上がること、また、食材を1つ取り替えただけで、タンパク質と脂肪の数値が増減することが、明らかに見て取れる。

では、マリナーラのような正にシンプルなピッツァの場合は、どうだろう?

規約によると、そのトッピングは、粗く崩した湯剥きトマト約85g、オレガノ一つまみ、ニンニク1片、EVO4~5gとなる。

規約に準じたマリナーラの栄養価

一方ロザリオは、トマト100g、EVO10g、そして規約と同量のニンニクとオレガノを用いる。MyFitnessPal と FatSecretによると、規約に準じたマリナーラのカロリーは平均567.5kcal(マルゲリータ的なピッツァに比べると相当低い)、炭水化物は108g、タンパク質16g、脂肪はわずか6.7gとなる。

これに対して、ロザリオの家のオーブンでは、642kcalのカロリー、炭水化物110g、タンパク質15.7g、脂肪14.8gのマリナーラが焼かれている。

例えば、体を鍛えていて、タンパク質を積極的に摂りたい方には、マリナーラよりもマルゲリータが理想となる。マリナーラに、(脂肪分が少なめの)サラミや魚(ツナ、イワシ)と言ったタンパク質が豊富な食材をプラスするのも手だ。

体重を増やす必要があって、カロリーの塊を探している?宜しい、そんなあなたのための、(夏向きの)とっておきの1枚をお届けしよう。ビアンカ、つまりトマト抜きタイプで、フィオルディラッテ、ブッラータ、スモークサーモンをトッピングした、ロザリオ特製の逸品である。

ロザリオ特製サーモンピッツァ

数値が知りたい?

カロリーは堂々の1,032kcal、炭水化物112.2g、タンパク質47.2g、脂肪は46g(うち飽和脂肪酸19.5g)となる。単に体を動かすのではなく、れっきとしたスポーツをし、かつその運動量が中~高度に達するアスリートに適した、タンパク質量の高いピッツァである。

このちょっとした、楽しい実験から、料理 としての ピッツァだけでは、栄養学的には何の意味も持たないことを、ご理解いただけようた。

我々の健康状態、腹の減り具合、その時々のあり方、スポーツの種類を基に、食事療法的なものから、その意味が薄いものまで、様々なタイプのこの逸品を楽しむことができる。すでに書いたように、「量こそが毒になる」。このコンセプトは、私は今後もあくまで繰り返して行く。

PS:1,000Kcal越えのロザリオ特製サーモンピッツァのカロリーを、1時間以内に消費したい方は、時速13㎞で1時間走るか、縄跳び1時間で、これをクリアできる。

大いに食べて、大いに運動!

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