「マルゲリータ用ベスト・トマトとは?」グリエルモ・ヴオロ、再び
マリナーラ用ベスト・トマトに関する考察で、目からうろこが落ちたり、興味をそそられた方には、このマルゲリータ用ベスト・トマトに関する考察も見逃せない。
Column by Antonio Fucito — 5年 前
マリナーラ用ベスト・トマトに関する考察で、目からうろこが落ちたり、興味をそそられた方には、このマルゲリータ用ベスト・トマトに関する考察も見逃せない。
マルゲリータは、バリエーションの幅が広く、複製が最も多い、期せずして世界で一番愛される存在となったピッツァである。カンパ―ニア州産のフィオルディラッテまたは水牛モッツァレッラを用いた本物であるか、模造品あるいは一種のバリエーション(例えば、アメリカ産チーズであるが、いかにもイタリア語らしく響く名前を冠したフォルマッジ・モッツァレッラformaggi mozzarellaを使用したもの)であるかはさておき、このピッツァの特徴の一つに、これに適したトマトを用いていることが挙げられる。
アジェロラ産のフィオルディラッテや、カンパーニア州産水牛モッツァレッラDOPなどのフレッシュ・チーズは、トマトの有効成分と見事に融和する。では、そのバラエティの中で、マルゲリータに一番のトマトとは、一体どれであろうか?マリナーラの場合と同様、追求してみよう。
ここで再び、グリエルモ・ヴオロに教えを請おう。このマエストロとモニカ・ピシテッリが編み出したトマトメニューは、彼が率いるピッツェリア全店に置かれており、そこでトマトの品種の多様さに触れた顧客は、この見慣れた果実を、はからずも今までとは違う角度から見つめ直す機会を得る。ただしその情報は、各々の舌の好みという絶対性を、常に尊重したものである。複数のトマトのブレンドという選択肢は、最も危険である一方、一番便利でもある。なぜなら、ピッツァイオーロの手に身をゆだねることで、様々な味わいを楽しむことができるからである。
マルゲリータにおいても、そのベスト・トマトの選択は、一筋縄ではいかない。「マルゲリータには、サンマルツァーノDOP pomodoro san marzano DOPが最適」という声は高い。サルネーゼ・ノチェリーノ平野のような水分が豊富な土地に育ったこのトマトは、ミネラルに富み、味が濃い。
このトマトは、空気に触れた際に起こる酸化を抑えるため、手で潰される。グリエルモ・ヴオロ曰く、サンマルツァーノは「実に良くできたトマトだが、全てのマルゲリータに適しているわけではない」。この品種が含有する大量の水分は、しっかり加水した生地とは合わない可能性をはらんでいる。
フィアスコーネ pomodoro fiasconeは、数年前にようやく栽培が再開されたトマトで、マルゲリータとの相性が良い。「フィアスコーネ王」の異名をとる、アマルフィ半島で再発見されたこの品種は、様々なトマトの「親」も務めた。なお、その皮は、貯蔵用の加工に大変適している。
マルゲリータにぴったりの、再発見されたトマトとしては、カンネッリーノ・フレグレオpomodoro cannellino flegreoも挙げられる。名前が示す通り、ナポリ西部のカンピ・フレグレイ産で、今日ではPAT(伝統的農産物Prodotti Agroalimentari Tradizionali)に認定されているこの品種が息を吹き返したのは、勇気ある農家グループのおかげである。カンネッリーノという名称は、栽培時に、その支えとして笹の稈(イタリア語でカンナ)を用いることに由来する。その栽培地域としては、ポッツォーリとクーマの間が認められている。カンネッリーノ・フレグレオの再興は、工業的な手段に一切頼らないため、ゆっくりしたもので、まだ時間を要する。今後優れたカンネッリーノ・フレグレオを見極めるために、ピッツァイオーロには、嗅覚の鋭い素材探求者としての役割が求められている。貯蔵用に加工されたこのトマトの、マルゲリータとの相性は抜群である。この品種ならではの卓越したジューシーさ、そして勢いのある甘みと塩気が、いつもと違うマルゲリータのヒントとなってくれることは間違いない。