ピッツァ・フリッタ(揚げピザ)をホームメイド エンツォ・コッチャが伝授する、そのコツとレシピ
コロナウイルスによる外出自粛期間ですら、このピッツァに我々が捧げる、圧倒的な愛を止めることはできない
Column by Antonio Fucito — 5年 前
ああああああああああ!ピッツァ・フリッタ!!!7つの大罪の一つに挙げられる、貪食(暴食)の罪の鑑。その爆発的な味わいのスケールに肩を並べられるメニューは、世界広しといえども、ごくわずかしか存在しない。完璧な仕上がりのその一皿は、生涯忘れることのできない経験として、これを口にした者に深く刻み込まれる。生地が150g程度と小ぶりなため、揚げ物にもかかわらず、そのカロリーはマルゲリータよりも低いことは、あまり知られていない。ナポリでは通常、厚めの藁半紙のようなざら紙に包まれた姿で提供される。食べ歩きもOK。
1954年、ヴィットリオ・デ・シーカが監督した映画L’Oro di Napoli (ナポリの黄金)で、これを作っては売るソフィア・ローレンが叫ぶ呼び込み文句は、「今日食べて、お勘定は8日後だよ~!」。これは、ナポリの慣習だった翌週払いの掛け売り「今日から8日 a ogge a otto」というシステムを、端的に表現している。
涎が垂れそうな皆さんは、もうちょっとの我慢!幸いにしてこのピッツァ・フリッタ、実は自宅のキッチンで簡単に作れるメニューなのである。かの(2軒の)名店Pizzeria La Notiziaを率いるマエストロ・ピッツァイオーロ、エンツォ・コッチャを講師に迎え、彼直々に、その手軽な作り方とレシピをシェアしてもらおう。具のメニューは、最も歴史ある3種類のうちの一つ、リコッタ、プロヴォラ、ナポリ風サラミとする。因みに後の2種は、豚のくず肉と、スカローラである。
作り方とコツを掴んだら、後は各々が思いつく限りの具を用い、心置きなくこのレシピを応用して欲しい。
ピッツァ・フリッタ以外のピッツァ作りに自宅でチャレンジする方には、同様の自家製ベーキングパン入りピッツァ、またはナポリピッツァに関する記事を合わせてお勧めする。
ピッツァ・フリッタ用生地のレシピ(8~10個分)
500mlの水をボウルに入れる。海塩25gをこれに溶かす。溶かし切ったら、生イースト3gを溶かし込む。ここに小麦粉800g(00タイプ。ふんわりと柔らかく、弾性/耐性のバランスが良く、水分含有量13~15%の、できれば高品質のもの)を、弾性がありかつ柔らかく、まとまりのとれた、理想的な状態の生地になるまで徐々に加え、捏ねる。適度に湿らせた白い綿製の布で覆い、常温(18~22度)で6~8時間寝かせる。150gの生地玉に分割して丸め、番重(硬質プラスチック製が理想)に並べ、蓋を閉めてさらに2時間発酵させる。発酵した生地玉を、ナポリピッツァの圧延テクニック(指の腹で押し、両手を使って回転させ、遠心力で延ばす)を用いて延ばす。延ばした生地玉の半分に具を乗せ、残りの生地でこれを覆い、縁をきっちり重ねて押し、完全に閉じる。その際とじ目が均一であること、また打ち粉を打ち過ぎないこと(熱した油で焦げ、苦みがつくため)に留意する。
オレイン酸含有度の高いひまわり油を深さのあるフライパンに入れ、190℃に熱する。先に作った生のピッツァ・フリッタをこれに浸し、約2分じっくり揚げる。黄金色に色づいたらとり出し、油切りバットにあげる。
Tリコッタ、プロヴォラ、ナポリ風サラミのピッツァ・フリッタ一つあたりの具のレシピ
- 水牛のリコッタ 50g
- プロヴォラ(牛乳製) 40g
- ナポリ風サラミ 40g
リコッタを少量の水で延ばす。プロヴォラとサラミを拍子切りにする。延ばした生地玉の半分にリコッタを乗せ、プロヴォラとサラミを散らす。
生地を半円型に閉じ、縁をしっかり密着させる。縁の部分を掴んで引き上げ、熱々の揚げ油に滑り込ませる。
熱々を、「いただきます!!」